アニェス・ベラドンヌ劇中で新聞記者【フィリップ・マンソニエ】を演じる坂本岳大が
共演者を取材する特別対談企画!






坂本 まずはこの作品の印象・感想、自分の役への最初の印象みたいなものがあったら教えてください。
木村 いままだお稽古の最中だから、これからどういう風に行くかち ょっと先が見えたかなっていう感じですね、今のところは。 でも最終的には、素敵な芝居に仕上がるような気がします。
坂本 まだ稽古の途中ですが、今の段階でアニェス・ベラドンヌを 演じるということで、
苦労している点はありますか?
木村 台詞(笑)
坂本 台詞ですか(笑)

木村 日常会話っていうのとは違いますし。それに今回は楽屋の暴露話みたいな感じなんだけれども、そういった次元だけじゃなくて、作家のジャン・ポール・アレーグル氏が『人生そのもの』を物語っている部分が多いんですよ。
だから反対に言うと、どなたにも観て頂ける単なる女優同士のお話とか楽屋の話っていうだけの次元ではなく、『あ、私にも当てはまるかもしれない』と思っていただけると思います。
種明かしになってしまいますから、最後のほうは言えませんけど、ある年齢になった大女優の物語っていうのが凝縮されていますから、観て頂ける方には、「ちょっと楽屋を覗いているようで、実は誰かの人生にだぶってくる」ような6人の代表者のような登場人物だと思います。
そこがこの作品の素晴らしい所だと思います。
坂本 今回は女優さんの役じゃないですか?役者だと色々な役を演じるわけですが、
『役者が役者を演じる』ことに関して、特別意識することってありますか?
木村 今回は『大女優』ってことで、そのギャップが気恥ずかしいです(笑) 私も劇団で主役をやったりすることもありますから、背負ってるものの重みは常に感じてきました。それをダブらせるのと、あとは年齢的なことですね。
芝居は一見華やかですが、体力勝負ですから。台詞覚えるのも、舞台でお客様に向けて演技をキープすることも大変で。その責任は十分感じているので、そういう意味では『自分そのもの』でいいので苦労はないですね(笑)
あとはプラスアルファさえあれば大丈夫だと思っています。
坂本 では視点をかえて。今回の演出の岡田正子先生とはお付き合いが長いと思いますが、先生がベラレーヌ・システムをやってらして、やっぱり独特の世界観があると思うんですけど、そのへんはいかがですか?
木村 私は20代のときこのベラレーヌ・システムを学んだんですけど、この繊細なニュアンスは日本人にはないニュアンスだと思うんですね。先生はものすごく演技にその繊細さを要求するんですね。わたしはその指導を受けていたから非常にわかるんですよ。こういうことを要求する演出家は少ないし、日本の演劇に先生が持っているものをプラスしたら、とても豊かな舞台が生まれるということを、今回あらためて認識しました。
坂本 今回楽屋が舞台のお芝居ですが、今までの演劇人生の中で楽屋にまつわるエピソードみたいなものがあったら聞かせていただきたいのですが。
木村 私の師匠の賀原夏子という女優が、癌で亡くなってしまったんですけど、末期のときに私が代役で待機していたんですよ。もし先生が倒れたら、自分がやらなきゃなんないというギリギリの事を経験させていただいたんです。同じメイクをして、倒れたらスイッチングするということになっていて。こんなことって望んでできることじゃないし、一生に一回の命をかけた時を楽屋で過ごしたという経験ですかね。
坂本 それはやっぱり、自分の本役でやっているときとは全然違いましたか?
木村 全然違いましたね。それは内緒にしていた事でしたし。うまくいけば先生がすべて演じますし、私はお婆さんのメイクをして楽屋で待機しているわけですよ。次の旅公演のときに、1幕で先生が倒れられて、2幕から私が出るということになって、15分の休憩の間にメイクをして、舞台に上がったんですよ。 それは本当にドラマチックですよ。
坂本 俳優にとって舞台が本番じゃないですか。楽屋というのは準備をする場所であり、舞台から戻ってくる場所であり、終わったらメイクをとって帰り支度をしてという場所じゃないですか。イメージ的に言うと木村さんにとって楽屋っていうのはどんな場所ですかね?
木村 やっぱり『さらけ出してる』所かな。帰ってきたときにね。それを今回演じるわけでしょ?だから単なる会話劇だけじゃなくて、その人間がさらけ出されてしまってるところ、そういう部分を垣間見ていただけたらとう点もありますね。
坂本 ありがとうございます。 では最後にお客様に一言お願いいたします。
木村 私にとってやっぱり大女優って点が気恥ずかしいんですけど、なにかやっぱり一つのものに懸けている、ほんとに命を懸けている、削っている、真剣勝負でやっているというところを感じていただけたら、観ていただけたらと思います。だからピッタリです、舞台をやるということと、この役を演じるということ、観ていただくということは(笑) この役をやらせていただいてほんとにありがたいです。そういう喜びを感じてはいるんですけど、今はまだ苦しむ事のほうが多いです(笑)
坂本 まだ稽古の最中の取材ですからね(笑)
木村 すばらしい舞台になると思うので、是非劇場まで足をお運びください。
坂本 ありがとうございました。

一筆御礼

稽古場で、常に皆を盛り上げてくれている木村有里さん。
今回もざっくばらんに語っ ていただきありがとうございました。
何でも、演出の岡田先生とは20代の頃からのお付き合いだとか?!
どうりで、先生と のやりとりも絶妙なわけです。
稽古場の空気やリズムというので、現場はいくらでも変わります。
それは作品にも当然影響してくるでしょうし、
そういう意味では作品の中でも、稽古場においても、
木村さんの存在が大きく支配しているものを日々感じております。
この作品に関してはもちろん、そこから広く演劇の話に発展していく「木村節?!」 に
いつも大きくうなずいて勉強させてもらってます。いやホント、熱い方です。
残りの稽古も本番に向かって、よろしくお願います。
皆様、木村アニェスをどうぞお楽しみに!!

坂本岳大

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